落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。
「蓮くん」
「なんだ」
「昨日、待つって言ってくれたでしょ」
「ああ」
「すごくうれしかった」
蓮の目が、静かに小春へ向く。
「急かさないでくれるの、やさしいなって思って」
「……」
「ちゃんと考えたいって思えたの、蓮くんだったからだよ」
言い終わるころには、心臓がもう痛いくらい速かった。
でも、蓮はしばらく黙ったあと、ほんの少しだけ口元をゆるめた。
「そうか」
「うん」
「なら、待つ意味はあるな」
その言葉に、小春の胸がふわっと軽くなる。
ああ。
やっぱりこの人と話すと、安心する。
そのとき、廊下の向こうから勢いよく声が飛んできた。
「小春ちゃーん!」
「うわっ」
桃園えるが全力で走ってくる。
その後ろには白峰くんとレイナまでいた。
「見つけた!」
「なんでみんな来るの!?」
「だって、ふたりきりで話してるって聞いたから」
「誰情報!?」
「私」
レイナが真顔で言う。
「レイナちゃん!?」
「えるが騒ぐと面倒だから先に教えた」
「裏切りだよ!」
「うるさい」
わちゃわちゃと騒ぐ三人を前にして、小春は思わず笑ってしまう。
すると、えるがじーっと小春の顔を見る。
「……なに?」
「小春ちゃん、さっきより顔やわらかい」
「え」
「桜井くんと話したから?」
「ち、違っ」
「違わないだろ」
ぽつりと蓮が言った瞬間、その場の全員が固まった。
「……え」
小春が目を丸くする。
えるは数秒止まったあと、顔を輝かせた。
「今の聞いた!?」
「聞いた」
「聞いたけど」
「桜井くん、さらっとすごいこと言った」
白峰くんもレイナも反応している。
蓮は自分で言ってから気づいたのか、わずかに眉を寄せた。
「……今のは」
「今のは!?」
えるが前のめりになる。
「いや」
珍しく蓮が言葉に詰まる。
その様子がなんだかおかしくて、小春はふふっと笑った。
「蓮くん」
「なんだ」
「ほんとに、ちょっとずつわかりやすくなってるね」
「……おまえまで言うのか」
「だって、うれしいから」
小春がそう言うと、蓮はもう何も言い返せなかった。
その代わり、少しだけ困ったように目を伏せる。
そんな彼を見て、胸の奥がまたあたたかくなる。
まだ返事はしていない。
でも、昨日までとは違う。
自分の気持ちは、ちゃんと前に進み始めている。
「なんだ」
「昨日、待つって言ってくれたでしょ」
「ああ」
「すごくうれしかった」
蓮の目が、静かに小春へ向く。
「急かさないでくれるの、やさしいなって思って」
「……」
「ちゃんと考えたいって思えたの、蓮くんだったからだよ」
言い終わるころには、心臓がもう痛いくらい速かった。
でも、蓮はしばらく黙ったあと、ほんの少しだけ口元をゆるめた。
「そうか」
「うん」
「なら、待つ意味はあるな」
その言葉に、小春の胸がふわっと軽くなる。
ああ。
やっぱりこの人と話すと、安心する。
そのとき、廊下の向こうから勢いよく声が飛んできた。
「小春ちゃーん!」
「うわっ」
桃園えるが全力で走ってくる。
その後ろには白峰くんとレイナまでいた。
「見つけた!」
「なんでみんな来るの!?」
「だって、ふたりきりで話してるって聞いたから」
「誰情報!?」
「私」
レイナが真顔で言う。
「レイナちゃん!?」
「えるが騒ぐと面倒だから先に教えた」
「裏切りだよ!」
「うるさい」
わちゃわちゃと騒ぐ三人を前にして、小春は思わず笑ってしまう。
すると、えるがじーっと小春の顔を見る。
「……なに?」
「小春ちゃん、さっきより顔やわらかい」
「え」
「桜井くんと話したから?」
「ち、違っ」
「違わないだろ」
ぽつりと蓮が言った瞬間、その場の全員が固まった。
「……え」
小春が目を丸くする。
えるは数秒止まったあと、顔を輝かせた。
「今の聞いた!?」
「聞いた」
「聞いたけど」
「桜井くん、さらっとすごいこと言った」
白峰くんもレイナも反応している。
蓮は自分で言ってから気づいたのか、わずかに眉を寄せた。
「……今のは」
「今のは!?」
えるが前のめりになる。
「いや」
珍しく蓮が言葉に詰まる。
その様子がなんだかおかしくて、小春はふふっと笑った。
「蓮くん」
「なんだ」
「ほんとに、ちょっとずつわかりやすくなってるね」
「……おまえまで言うのか」
「だって、うれしいから」
小春がそう言うと、蓮はもう何も言い返せなかった。
その代わり、少しだけ困ったように目を伏せる。
そんな彼を見て、胸の奥がまたあたたかくなる。
まだ返事はしていない。
でも、昨日までとは違う。
自分の気持ちは、ちゃんと前に進み始めている。