落ちこぼれ芸能科ですが、演技の天才ヒロインが舞台で全員勝たせます。
「何か言ったか」
 
「ううん。絶対勝つって思っただけ」 

「そうか」

 桜井くんは短く答えてから、ほんの少しだけ口元をゆるめた。

「なら、さっさと始めるぞ。白雪小春」

「はい、桜井蓮くん」

 その瞬間、なぜか彼の目がわずかに揺れる。

「……今、フルネームで呼ぶな」

「え、だめだった?」

「調子が狂う」

「じゃあ蓮くん?」

「もっとだめだ」

「難しいなあ」

 また誰かが笑った。

 大丈夫。
 このクラスは、きっと変われる。

 わたしはそう信じて、ステージの真ん中に立つ。

 ここから始まる。
 白雪小春の、みんなを輝かせるための舞台が。
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