その青を描く ③
それから、団体客が来ることが多くなった。接待だと察したけど、主役が見当たらなかった。代わり映えはしないから、店側としては問題ない。
それでも目はつけていたけど、いつの間にか人が減って、気づいたら、若い男が一人でやってきた。
誰を付けようか考えて、人気上位のキャストを選んだ。席に着いてから、男は煙草を手に持って、口を開いた。
「……新人の子……、いる?」
俺のほうを見もせずに、店内を見回している。名前を言ってくれれば、すぐ分かるのにと思いながら、仕方なく尋ねた。
「名前、覚えてらっしゃいますか」
「……玉城、さん」
俺は一瞬考えたけど、すぐに応えた。
「今日は出勤していません。別の女の子をお付けします」
「いらね」
『ん? いま何ておっしゃった?』聞き間違いかと思った。でも、態度は悪いまま、煙草を吸って、箱をテーブルの上に乱暴に置いている。
「かしこまりました」
席を離れるときに見ると、男の目は据わっていた。そう言えば、あの時も同じような目をしていた。団体客といたときもそうだった。
あれは女に興味がないというより、物事に関心がないんだと思った。何か問題を起こしそうにはないけど、迂闊なことを言えば手が伸びてきそうだった。
俺は他の従業員に、あの席はあまり近づかないほうがいいと言って、他の客が絡んだら、すぐにその場から離れるように伝えた。
しかし、いつの間にか柚月を指名していたのか、親しそうではないから、少し気をつけて見たほうがいいかもしれない。
それ以来、男はたまに店に来て、柚月を指名した。二人の距離はしっかり保たれてたけど、時が過ぎるごとに、俺は何となく察していた。
でも、俺はまた余計な一言を口にしていた。
「柚月、あいつに気をつけろよ」
「なんで」
「なんでって、男なんだから、そういう目で見てくるだろ」
「大丈夫。戸田さんは悪い人じゃないもん」
あまりにも呆気なくて、俺は何も言えなかった。それ以上に、他人が口を出すことでもないと思った。
それからまた時が過ぎ、柚月が就職で忙しくなって、しばらくして店を辞めた。上司は惜しがってたけど、俺がいるじゃないかと変に励ましたら、お前はここに就職しろと睨まれた。
離れる理由もないし、目の保養にもなるから得した気分だった。
それでも目はつけていたけど、いつの間にか人が減って、気づいたら、若い男が一人でやってきた。
誰を付けようか考えて、人気上位のキャストを選んだ。席に着いてから、男は煙草を手に持って、口を開いた。
「……新人の子……、いる?」
俺のほうを見もせずに、店内を見回している。名前を言ってくれれば、すぐ分かるのにと思いながら、仕方なく尋ねた。
「名前、覚えてらっしゃいますか」
「……玉城、さん」
俺は一瞬考えたけど、すぐに応えた。
「今日は出勤していません。別の女の子をお付けします」
「いらね」
『ん? いま何ておっしゃった?』聞き間違いかと思った。でも、態度は悪いまま、煙草を吸って、箱をテーブルの上に乱暴に置いている。
「かしこまりました」
席を離れるときに見ると、男の目は据わっていた。そう言えば、あの時も同じような目をしていた。団体客といたときもそうだった。
あれは女に興味がないというより、物事に関心がないんだと思った。何か問題を起こしそうにはないけど、迂闊なことを言えば手が伸びてきそうだった。
俺は他の従業員に、あの席はあまり近づかないほうがいいと言って、他の客が絡んだら、すぐにその場から離れるように伝えた。
しかし、いつの間にか柚月を指名していたのか、親しそうではないから、少し気をつけて見たほうがいいかもしれない。
それ以来、男はたまに店に来て、柚月を指名した。二人の距離はしっかり保たれてたけど、時が過ぎるごとに、俺は何となく察していた。
でも、俺はまた余計な一言を口にしていた。
「柚月、あいつに気をつけろよ」
「なんで」
「なんでって、男なんだから、そういう目で見てくるだろ」
「大丈夫。戸田さんは悪い人じゃないもん」
あまりにも呆気なくて、俺は何も言えなかった。それ以上に、他人が口を出すことでもないと思った。
それからまた時が過ぎ、柚月が就職で忙しくなって、しばらくして店を辞めた。上司は惜しがってたけど、俺がいるじゃないかと変に励ましたら、お前はここに就職しろと睨まれた。
離れる理由もないし、目の保養にもなるから得した気分だった。