普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!
 何気無く曲がった曲がり角で何人かの武装した男たちを見て、目を見開いた。

 彼らがエッセン伯爵家の者ではないのは、ひと目見てわかった。顔を隠していたからだ。

 悲鳴をあげそうになり口に両手を当てて、私は身を隠した。

 近くには御者や騎士がいてもおかしくないのに、いない……もしかしたら、もう片付けられてしまった後なのかもしれない。

「……おい。王子はもうすぐ戻るんだな?」

「……いつもなら、近くの湖まで遠出をして帰って来る。ここになら、必ず帰ってくる」

「……直系の跡取りはいないと見せかけて、まさか貴族として身分を隠しているとはな……相当に父親が恨まれているから、仕方ないが……」

 断続的に聞こえてくる会話。

 明らかに、伯爵と身分を偽った王太子アルベルトを狙っている。私の全身は危機を感じて緊張していた。

「……あの王の天下も、もうすぐ終わりだ。直系男子はこの王子だけ。こいつさえ、殺せば……公爵が、王になれば……俺が」

 私は足音を忍ばせて、ゆっくりとその場を離れた。アルベルトは、一人での遠乗りを好んでいる。

< 11 / 18 >

この作品をシェア

pagetop