魔法より、君に恋をする。

第二十四章 約束の増やし方

翌日の放課後。

「苺」

 終礼の鐘が鳴った瞬間、ノアが言った。

 リリアは鞄へ教科書を入れながら顔を上げる。

「覚えてる」

「確認」

「朝も聞いた」

「昼も聞いた」

「三回目」

「大事な約束だからね」

「苺が?」

「君と食べる苺が」

「同じじゃない?」

「全然違う」

 よく分からない。

 けれどノアが楽しそうなので、リリアはそれ以上追及しなかった。

「どこ行くの?」

「学院の西門近くに焼き菓子屋があるんだ。春限定で苺のミルフィーユが出てる」

「詳しい」

「昨日調べた」

「そこまで?」

「約束したから」

 さらりと言われる。

 昨日のノアを思い出した。

『怖くても、約束したいから』

 その時の顔と、今の嬉しそうな顔は少し違う。

 でも、どちらもノアなのだろう。

「じゃあ行こう」

「うん」

「リリア」

 セシルが呼ぶ。

「何?」

「今日は私、剣術科の訓練あるから先に行くね」

「分かった」

「またあとで」

「うん。また明日」

 そう答えると、セシルが一瞬だけ目を細めた。

「……うん。また明日」

 最近、この言葉をよく使う。

 以前は何も考えずに言っていた。

 今も、リリアにとっては普通の挨拶だ。

 けれどノアたちを見ていると、それを大切そうに受け取る人がいるのだと分かってきた。

「じゃあノア」

「はい」

「苺」

「行こう」
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