魔法より、君に恋をする。
女子寮までの道。

 カイルが送ると言った。

 ルシアンは生徒会室へ戻った。

 二人で歩く。

 しばらく沈黙が続いた。

「クロフォード先輩」

「何だ」

「さっきの約束」

「どれだ」

「卒業しても会うやつ」

「ああ」

「忘れないでくださいね」

「忘れない」

「絶対?」

「できない約束はしないと言っただろう」

「そうでした」

 リリアは満足した。

 少しして、カイルが言う。

「リリア」

 足が止まった。

 今度は聞き間違いではない。

「……呼んだ」

「ああ」

「なんで?」

「呼べと言っただろう」

「さっきは嫌って」

「気が変わった」

「もう一回」

「調子に乗るな」

「一回だけ」

「嫌だ」

「ケチ」

 歩き出す。

 リリアも隣へ並ぶ。

「でも、そっちの方が好きです」

 カイルが止まりかけた。

「名前で呼ばれる方」

「……分かっている」

「なら呼んで」

「必要な時にな」

「いつ?」

「俺が決める」

「ずるい」

「何とでも言え」

 そう言いながら。

 カイルの口元は、ほんの少し笑っていた。
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