私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
もう雅芳のことで心を振り回されるまい。
そう心に決めたのに、その決意を揺るがす出来事は、その日のうちに起こった。
「佳穂……!」
業務終了後、バッグを持って席を立った佳穂が自社ビルを出たとき、背後から呼びかけられた声を聞いて佳穂は目を剥いた。
立ち止まり、少しの間を置いて振り向く。
「こんな誰が聞いているか分からない場所で、そんな呼び方をしないでください」
かすかに眉を寄せて訴える佳穂の視線の先には、予想どおり、雅芳の姿があった。焦って追いかけてきたのかもしれない、わずかに肩を上下させていた彼は、素早くこちらに追いつくと、その場で大きく息を吐いた。
「すまない。――けど、こうやって無理にでも引き止めないと君は、僕と話もしてくれないだろう?」
連絡手段をことごとく断っていることを暗に指摘されて、佳穂は眉を寄せる。
「とりあえず移動しよう」
許可を得ようとするかのように雅芳が差し出した手を佳穂はしばし見つめ、しぶしぶそこに自身の手を重ねた。
街の中を手を引かれて歩いている間、佳穂の頭の中は、どうして、という疑問でいっぱいだった。
そう心に決めたのに、その決意を揺るがす出来事は、その日のうちに起こった。
「佳穂……!」
業務終了後、バッグを持って席を立った佳穂が自社ビルを出たとき、背後から呼びかけられた声を聞いて佳穂は目を剥いた。
立ち止まり、少しの間を置いて振り向く。
「こんな誰が聞いているか分からない場所で、そんな呼び方をしないでください」
かすかに眉を寄せて訴える佳穂の視線の先には、予想どおり、雅芳の姿があった。焦って追いかけてきたのかもしれない、わずかに肩を上下させていた彼は、素早くこちらに追いつくと、その場で大きく息を吐いた。
「すまない。――けど、こうやって無理にでも引き止めないと君は、僕と話もしてくれないだろう?」
連絡手段をことごとく断っていることを暗に指摘されて、佳穂は眉を寄せる。
「とりあえず移動しよう」
許可を得ようとするかのように雅芳が差し出した手を佳穂はしばし見つめ、しぶしぶそこに自身の手を重ねた。
街の中を手を引かれて歩いている間、佳穂の頭の中は、どうして、という疑問でいっぱいだった。