私ばかりが本気だと思って別れを告げたら、完璧上司の余裕が崩れました【ヒロイン視点改稿版】
 視線を上げると、この上なく真剣な顔をした雅芳がいた。

「それはつまり、君はまだ、僕のことが好きなんだと思っていいのか……?」

 ほとんど無意識に――当たり前のように、佳穂は首を縦に動かす。

「……はい。でも、八代課長は、私のこと――」
「好きだよ」

 雅芳は素早く断じた。まるで、これ以上佳穂を不安にさせまいとするように。

「好きだ」

 言い含めるように繰り返した雅芳を、佳穂は瞳をまん丸にして見つめた。
 しかし、すぐに我に返ってやるせなく首を横に振る。

「それだけじゃ……分かりません。恋人だったんですから、少しくらい好意があるのは当たり前だと思います。私が知りたいのは――」
「僕が本気かどうか、本音を知りたい。そういうことか?」

 先んじて尋ねられ、佳穂はゆっくりと首肯した。
 雅芳は口もとに手を当ててしばし考える様子を見せる。

「本当に、僕の本音を言ってもいいのか?」

 ここまで来てなにをためらうことがあるのか、そんなふうに確認してくる雅芳に、佳穂はきっぱりと応じた。

「はい。ここで話してくれないなら、課長とは別れます」
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