敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
マイケルと侍女達の激しい攻防に私が目を白黒させていると、侍女達がにやりと笑った。
「そうおっしゃられるかと思いましたので、一つだけ残してあります」
そうして、襟元の詰まった淡い桃色のデイドレスを身にまとった私を見たマイケルは、何故かてのひらを返した。
「これは、よくない……危ない……」と呟いていて、侍女達が満足げに頷いていたので、彼らは共通の何かを得ることができたのだろう。そういえば、アイリス姉さまも、私の着せ替え人形をしている際に、「襟首が詰まった服が、危険だんて、そんな……」とはがみしていたことがあった。きっと、あまり似合っていなかったのだろう。姉さまの楽しい時間を損なってしまうなんて、本当に申し訳ないことだ。
閑話休題、とにかく今は、マイケルからの話なのである。
私がマイケルに、なんの用かと尋ねて首をかしげると、マイケルは長く息を吐いた後、珍しく真面目な顔をして私に向き直った。
「今日は、君の話を聞きたくて」
「はい」
「ヴィンセント王国は、どうして君を僕達の国に嫁がせたんだろうか」
「……」
要らない子だったからです、と素直に答えると、マイケルはしばし唖然とした後、慌てふためいていた。