敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「な、何故? 君のように優秀な女性が」
「優秀ですか?」
「もちろんだとも! 君についた教師達から、話は聞いている」
「先生方はとてもお優しいですからね」
「そ、そうじゃない。君は素晴らしい才能の持ち主だ。故国でも、そう言われていただろう?」
「……マイクも、故国での私の呼び名くらいはご存じでしょう?」
ぎくりと身を強張らせたマイケルに、私はにっこりと笑う。
呪われた子。
国の醜聞の象徴、居ないも同然の第三王女。
第一王女の腰巾着。
それが私の呼び名だ。
「それが正しいです。私は、アイリス姉さまのただの腰巾着なのです」
「……それが仮に正しいとしたら、君はアイリス殿下の傍に居なければいけないんじゃないのか」
「アイリス姉さまが、怖がっていたので」
「怖がる?」
「マグネリア王国の男の人は、野獣のような奔放な方ばかりだそうです」
野獣、と呟いて目を丸くするマイケルに、私は神妙な顔をして頷く。