敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「アイリス姉さまは、騎士様が好きなんです」
「うん?」
「ベッドの下に、騎士様がお相手の夢小説が沢山隠されているのです」
「それ、僕が聞いていいことなのかな!?」
「私が騎士様みたいなので、きっと、アイリス姉さまの頭の中は、私でいっぱいだと思います」
うんうんと頷く私に、マイケルはしばらく目を瞬いていた。
まあ実際には、それだけではない。
アイリス姉さまはきっと、罪悪感でぐちゃぐちゃのはずだ。
私を犠牲にして、身代わりにして、自分だけが助かってしまった。
よわくて、つよい、アイリス姉さま。
痛みに弱いのに、それでもめげることなく、一生懸命に一人で立ってしまうアイリス姉さま。
私のせいで、あの美しい顔が歪んで、泣いてしまっているのだと思うと、これ以上なく心が満たされる。
それを言おうとしたところ、マイケルが先立って、何かに納得して「なるほどな」と頷いた。