敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


 お父さまもお母さまもアイリス姉さまのお母さまも、好きに振り回されていた。
 アイリス姉さまもだ。
 アイリス姉さまは、話したこともないお母さまが好きで、恋しくて、その気持ちに振り回されている。

 私は、それを横から見ていることを、心地よく感じる。

 けれども、自分の中のその想いを、『好き』という名前にしていいのだろうか。
 私のアイリス姉さまへの想いは、『好き』なのだろうか。

 アイリス姉さまからの使命のほうが、正直わかりやすいと思う。
 周りの人達を、私にメロメロにさせる。
 執着と偏愛を生む。
 それならば、手に取るように理解できる。

 でも、『好き』は少し違う気がする。

 私の中にある気持ちを、そんな、綺麗な名前にしてしまっていいものなのかな?

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