敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「君は、アイリス殿下の代わりにここに来たんだね」
「はい」
「例えば、アイリス殿下が誰かに殺されかかったら」
「盾になります」
「……そう。ヴィオレッタは、アイリス殿下の傍に居ると、嬉しい?」
胸の中に温かい気持ちが沸いてきて、思わずこくりと頷いた私に、マイケルは優しく微笑んだ。
アイリス姉さまと同じ金色の髪が、ふわりと風に揺れる。
「僕は、君はアイリス殿下が好きなんだと思うよ」
その日は、それからあまり話をしなかった。
ぼんやりと『好き』をかみしめている私に、マイケルはただそこに居るだけで、何も言わなかった。
私は、アイリス姉さまが好きなのか。
そうか。
これが、好き。
その日、私はアイリス姉さまに電報を打った。
電報なら、手紙と違って、即日相手に届けることができる。
文字数ごとにお金がかかるし、多くの言葉を伝えたいわけではなかったから、シンプルにしてみることにした。
『アイリス ネエサマ スキ デス』