敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
末っ子マクシムの言葉に、王家の居間は静まり返った。
団欒の中心で固まるマイケル王太子。
注目するロイヤルファミリー。
ついでに私。
じわじわと赤くなっていくマイケルの顔に、私はあらあらと目を見張る。
「違う……」
聞き取るのも大変なほど小さな声で呟かれたそれを、信じた者はいるのだろうか。
「これ、やばいぞマクシム」
「やばいですね、モーリス兄上」
「俺達がヴィヴィちゃんを奪ったら、地の底まで追ってくるレベルでやばい」
「……………………な……こ……は……………」
「何を言ってるか全然わからないな、マクシム」
「そうですね、モーリス兄上」
「二人とも、もうやめて差し上げろ」
ここで口を出したのは、他人事みたいな様子で私の隣で話を聞いていた、第三王子メルヒオールである。
「とにかく、ヴィヴィを呼び寄せたマイケル兄上が、彼女を自分の婚約者として迎えたいと判断したんだ。父上達もそれを認めている。ヴィヴィに異論がないなら、お前達に口を挟む権利はない」
「え?」
「え?」
首をかしげた私に、メルヒオールは驚いた顔でこちらを見た。
異論がないとは言っていないのだけれど。
「えっ。ヴィヴィはマイケル兄上だと嫌なの?」
「嫌……というより、あの……」