敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
その場の誰しもが疑問符で一杯になりながらも、同時に驚きで思考が止まってしまって、その疑問をミゲルにぶつけない。
一同が言葉を発しない中、ミゲルは大声で叫ぶ。
「反対です、反対です、反対です!! この女――ヴィオレッタは、兄上の妻に相応しくありません!」
数日、自室に引きこもりきりだった第二王子の急な暴挙に、ロイヤルファミリーも私も唖然として彼を見ている。
先ほどまで寝台の上にいたのか、着ているのは寝巻きだし、いつも綺麗にセットされていたダークブロンドの髪はポワポワになっている。
しかし、あまりに必死の形相なので、誰もそれを指摘することができない。
彼の勢いに押される中、口を開いたのはマイケルだった。
「……では、どうしろと?」
「わ、わた、私が!!」
「うん?」
「私が、彼女と結婚します! 兄上の、身代わりに!!!」
シーンと静まり返った居間。
どうしたらいいのかわからないといった顔で私を見てくる国王夫妻。
兄の奇行にドン引きしているメルヒオール以下三名の弟。
ビキビキと青筋を立てているマイケル。
地獄のような空間だわと思いつつ、とりあえず私は言うべきことを伝えようと口を開いた。