敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「わたくし達、マイケルに色々なことを任せすぎちゃったのね」
「仲の悪かったわたくし達をとりなしてくれたもの、あの子だったものね」
「そうなんですか?」
「そうなのよ。小さなころから利発でね。誰からも信頼されていて、理性的で、夫も既に多くの政務を任せていて……まさか、あの子がこんなふうに躓くなんて考えもしなかったわ」
「王子間でヴィヴィちゃんの婚約について揉めるなんて、よくないわよね。どうしてこうなっちゃったのかしら」
しょんぼりしている二人の王妃に、私は二人を励まさなければと奮起した。
「大丈夫です、ナサリエお義母さま、ニコラお義母さま」
「ヴィヴィちゃん」
「マイケル殿下はちょっと人間らしくなっただけで、本質は変わってないと思います」
今は少し、私に背中から秘孔を突かれて悶えているだけで、見栄っ張りで皆に誉めそやされるのが大好きな背伸びMAXの優等生であることは間違いがないのだ。
ちょっと新たな境地を見出しつつあるような気もしなくもないけれども、母親二人の前でそれを言うのはさすがにマイケルがかわいそうなので控えることにする。
「マイケル殿下はとっても完ぺきな王太子さまです。きっとすぐに落ち着いて、いろんなことに決着を着けてくれますよ」
だから大丈夫だと私が笑うと、二人の王妃も少し元気が出たようで、軽く微笑んでくれた。
「ヴィヴィちゃんはマイケルのことを信じてくれているのね」
「はい。私も、マイケル殿下には感謝しているんです」
「あら。マイケルと何かあったの?」
興味津々の二人の王妃に、私は思わずゆるむ頬を抑えながら、首を横に振る。