敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
半月前、マイケルのおかげで私はアイリス姉さまへの『好き』を自覚したのだ。
私の中にある、とっても綺麗な名前のついたその気持ちは、名前が付いたことで強さを増したような気がする。
でも、これは私とマイケルと、想いを告げたアイリス姉さまだけが知っていればいいことなのだ。
だから、何があったのかは二人の王妃様にも秘密なのである。
私がよほど嬉しそうにしていたのか、二人の王妃はおやおやと目を見張った後、顔を見合わせた。
「これは……ヴィヴィちゃんの婚約者は決まりかしら」
「ミゲル、可哀そうに……」
「? なんですか?」
「い、いえ。なんでもないのよ」
「そうよそうよ。なんでもなくてよ、ほほほ……」
こそこそと話をしている美しい二人に、私は首をかしげる。
実に楽しそうにしているけれども、なんの話なのだろうか。
不思議に思っているところで、侍従の一人が慌てた様子で私達の近くに寄って来た。
「――失礼いたします。お三方に、急報です!」
目を瞬く私達に、侍従は告げる。