敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。

 またしても腹が立ったので、斜め上から意地悪な顔でこちらを見ているマイケルに対して、ホテルマンに見えないようにしながら、「そんなに私が気になりますか」と胸の谷間を見せるように、ドレスの胸元をちらりと持ち上げてみた。
 マイケルは真っ赤な顔で口をはくはくさせながらも、意外にも私の胸元から目をそらさない。

「野獣……」
「ゲッホゲホゲホゲホ」
「!? どうなさいましたか!?」
「な、なんでもない! ちょっと、唾が喉にからんだだけだ!」
「そ、そうですか……?」

 赤い顔のマイケルに、ホテルマンは不思議そうな顔をしている。
 なんとなく胸がすいたので、私は笑顔で、自分のことでもないのに「大丈夫ですよ」と答えておいた。


 そしてようやくたどり着いた最上階となる地上十階である!!!


 なにやら、アイリス姉さまは十階フロアを貸し切っているらしい。

「こちらでございます」

 十階フロアの角部屋、最も広いスイートルームにアイリス姉さまは居るのだ。

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