敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。

 アイリス姉様の来訪は、マグネリア王国の王族に波紋を呼んだ。

「ヴィンセント王国が第一王女、アイリス=フォン=ヴィンセントでございます」

 アイリス姉さまの優雅なカーテシーに、国王夫妻は目を細めて姉様を歓待する。

「久しいな、アイリス殿」
「アイリス様とお会いするのは、昨年の国際会議以来かしら」
「お元気そうで良かったわ」
「マイルズ陛下、ナサリエ殿下、ニコラ殿下。ご健勝のようでなによりです」

 和気藹々とするアイリス姉様と国王夫妻。

 アイリス姉さまはヴィンセント王国の王太子なので、国際会議にもよく出席しているのだ。
 なので、国王、第一王妃、第二王妃とも面識があるのだろう。

 ちなみに、昨年の会議にはマグネリア王国王太子のマイケルも出席していて、第二王子ミゲルと第三王子メルヒオールも視察がてらついて行ったらしい。
 そのため、三人は多寡はあれども、アイリス姉さまと面識があるようだ。

 そんなことを考えていた私の横から、呆然とした呟きが聞こえた。

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