敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
ちゅっと音を立ててフローラちゃんの首輪の宝石にキスをすると、視線の先にある一室から、ガタガタゴトー―――ンという大音量が鳴り響いてきた。
よくわからないけれども、満足してくれたようだ。
ならば私も満足である。
「よし、それでは出陣しなくちゃね」
廊下に出た私がフローラちゃんを床に下ろすと、フローラちゃんは「なぅん」と挨拶をして、私の元を去っていった。
彼女が腕の中から居なくなってしまうと、少し肌寒い。
今は早春で、夜はまだまだ冷えるのだ。
これからの大事に備え、暖かくしていなければ。
一度部屋に戻って、厚手のガウンを再び着た私は、もう一つの小瓶に手をかけた。