敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
想定よりも出発が遅れてしまったので、アイリス姉さまはもう寝ているかもしれない。
それはそれで好都合ではあるのだが、なんとなく、今日のアイリス姉さまはまだ寝ていないような気がしていた。
(眠くてうとうとしているかもしれないけれど……)
誰も居ない道を友人達に教えてもらいながら、早歩きで廊下を進み、問題なくアイリス姉さまの居る客間の前にたどりつく。
満を持して、私はそっとドアノブに手をかけ、薄く扉を開き、部屋の中を覗き見た。
扉の前には、騎士服の上にガウンを羽織ったアイリス姉様が槍を持って仁王立ちしていた。
「……」
私はそっと、扉を閉めた。
何かの見間違いだっただろうか。