敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
一度扉をあけてみたけれど、やはりアイリス姉様が槍を持って仁王立ちをしているように見える。
頭がガクガク揺れているのは、屍として痙攣しているのではなく、多分眠たくて舟を漕いでいるのだろう。
そしてその下半身に目を滑らせると、そこには今日日なかなか見ない代物が装着されていた。
鋼鉄のパンツである。
「アイリス姉さま」
声をかけながら扉をバァ~ン!!!と勢いよく開けると、アイリス姉様はびっくりして槍を取り落としていた。
「……ヴィヴィ!? ちょっと、来るなら先ぶれのベルを鳴らしなさいよ! 槍で突いてしまうところだったでしょう!」
「このくらいで槍を落としてしまう姉さまには、槍を突くのは難しいと思います」
「そんなことないわ。女にはね、戦わなければならないときがあるの」
「別の戦い方のほうがアイリス姉さまには似合っています」
「大丈夫よ。この槍でね、秘孔を突くだけでいいんだから。男にはね、弱点があるらしいの。そこをえいって一突きすれば、簡単に大勝利よ」
自信満々の様子でニコニコ笑うアイリス姉さま。
アイリス姉さまが落とした槍を拾おうとしたので、私は先のとがったヒール靴でそれとなく槍を蹴り飛ばす。くるくると回転しながら部屋の隅まで転がっていく槍を見たアイリス姉さまは、凌辱された乙女のような顔で私を見た。