敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「なにをするのよ!」
「アイリス姉さま。今日はもうお疲れだと思うので、ベッドに入りましょう」
「そんなことをしたら、野獣が現れたときにそのまま襲われてしまうでしょう!」
「大丈夫です。先ほど野獣殿下をお二人討ち取ったので、誰もやってきません」
「!? やっぱり夜な夜な襲われているのね!? なんというすさんだ戦いの日々を……」
「いえ、今夜はたまたまというか」
「いいのよ、わかっているわ! その手慣れた様子、毎夜のことなのね。マグネリア王国はやっぱり恐ろしい国だわ」
「アイリス姉さま、違うんです」
「可哀そうに、ヴィヴィ。慰めてあげるからこっちにおいで」
「はい」

 アイリス姉さまに手招きされたので、笑顔で従った。
 よしよし頭を撫でてもらって、私の人生は最高潮である。
 マグネリア王国への誤解は、まあ後で適当に解いておけばいいだろう。

「ところでアイリス姉さま。そのイカツイ下着はなんですか?」
「下着じゃないわよ! これはね、対野獣戦用の最高傑作なのよ。昼間の鎧と違って装着したままベッドに寝られるの」
「鉄のパンツを履いたまま」
「パンツじゃないってば! ほら、ちゃんと服の上に身につけているでしょう。騎士服のスラックスの上に」
「これ、鍵付きですか?」
「そうよ。ここにその鍵があるわ!」

 きらりと鍵を見せつけてくるアイリス姉さまに、私は首をかしげる。

「その鍵が近くにあったら、意味がないのでは?」

 ハッと目を見開くアイリス姉さまに、私は追撃の手を緩めない。

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