敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
しばらく沈黙が続いた後、白い顔をしたアイリス姉さまは、震える手で下腹部辺りについている鍵穴にカギを刺そうとする。
カシャカシャと音を立てるその様を無言で見ていると、アイリス姉さまが悲鳴を上げた。
「開かないわ!」
「姉さま、まだ鍵が刺さってないです」
「ほ、本当に!? ねえ、視界が歪んでよく見えないの。エクバルトの陰謀かしら!?」
「姉さま、それは涙がとめどなくあふれているからです」
「ね、ねえ、ヴィオレッタ。代わりにこれ、開けてくれないかしら……」
「……」
「ヴィヴィ!!!」
「貸してください」
私は鍵を借りて、アイリス姉様の下腹部にある鍵穴に鍵を刺す。
くるりと鍵を回転させると、鍵穴からじっとりとした紫色の光が漏れるのが見えた。
そして、抜けない鍵。
……。
「しばらく外せないよう、呪いがかかってますね……」
「!?」