敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。

第5章 最悪の事態を回避するために努力を惜しまない王女


 その日、私は一人でお茶を飲んでいた。
 午後の王妃教育が終わったので、お気に入りの中庭テラス席でティータイムを過ごしているのである。

 私が教師達に囲まれている間に、アイリス姉さまは今後のマグネリア王国とヴィンセント王国の関係や嫁入りに関して話があるということで、国王夫妻やマイケルと会談をしていた。終わったらこのテラス席に来るといってたけれども、辺りにアイリス姉さまらしき人影はない。おそらくまだ終わっていないのだろう。

 そう思っていたところ、遠くに見える東棟の三階の窓が開いた。
 垣間見える白い腕、そこから現れたのはアイリス姉さまだ。
 きょろきょろと中庭を見回した後、私を見つけた彼女は、嬉しそうに手を振っている。


 アイリス姉さまは私の心臓を爆発させるつもりなのだろうか。


 キュン死しそうな胸の高鳴りを押さえて、私が手を振り返したところ、アイリス姉さまの後ろからマイケルが現れた。
 マイケルに何か言われて、アイリス姉さまは不満そうにしている。おそらく、アイリス姉さまは貴賓なので、念のため、他国であるヴィンセント王国で窓際に立たないよう注意されたのだろう。
 その後、マイケルとアイリス姉さまはこちらにもう一度手を振り、楽しそうに談笑しながら窓を閉めてその場を離れていった。

「……」

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