敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


 びっくり飛び上がるようなそぶりで、私の右手の中で全身をピーン!と伸ばした万年筆令嬢に、私は微笑みを絶やさない。

「素晴らしいことです。私、この国の王太子の暗殺を、阻止してしまいました……」
「だから違うわよ!!! ちょっと嫌がらせしようとしただけ……というかその発言、誰に向かって発したらそういう言い方になるのよ!?」
「もう少し事情聴取をして、犯人グループの内情をぐちゃぐちゃにかき混ぜてから報告したら、きっとたくさんご褒美をもらえますよね」
「だから違うってば!!!!! というか、なに、ぐちゃぐちゃってなに。なに!?」
「ターゲットは王太子です。その暗殺の阻止。彼はきっと事態を解決するような、破格のご褒美をくれるはずです」
「だからなんで説明口調なのよ!!!! 誰と話をしているのよ!!!!!!」
「さあ、私の部屋に行きましょうか」
「えっ」

 ご令嬢が白い顔をして固まる。
 青い瞳は涙で潤み、全身がプルプルと震えて、手先が冷えているような感じがする。
 なんて美味しそうな顔をするのだろう。

「それでは参りましょうか」

 こうして私は、金髪に青い瞳の小さな暗殺者を、有無を言わさずマイケルの部屋から持ち帰ったのである。

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