敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「これで完璧です」
「同情がどうしてこれに昇華されるのよ!」
「これはさっきのあなたの顔です。すごく可愛いでしょう?」
「……」
万年筆令嬢が複雑そうな、ちょっと嬉しそうな顔で無言になった。
どうやら満足の出来だったらしい。
可愛いは正義である。
すべての悪を背負ったマイケルの心も、きっと少しは慰められることだろう。
「じゃあ行きましょうか」
私が満面の笑みで部屋を出ると、万年筆令嬢はハッとした顔で青ざめ始めた。
メモを描いている間は平気そうな顔をしていたのに、なにか恐ろしいことでもあるのだろうか。
こうして私の私室にたどりついた私と万年筆令嬢。
私はそっと、寝台横の机の上にある口の広いガラスの花瓶に万年筆令嬢を入れる。
この花瓶は彼女の背丈よりも高さがあるので、簡単には脱出できないはずだ。
寝台に寝ころびながら、私ははやる気持ちを押さえつつ、花瓶に入れた彼女の姿をまじまじと眺めた。