敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
水色フリルの可愛い貴族令嬢服に身を包んだ、とても愛らしい女性だ。片口で切りそろえたサラサラの金髪に、くりくりとした深い青色の瞳が魅力的なお嬢さんである。
年の頃は二十歳のマイケルと同じくらいだ。だから、ご夫人の可能性もある。しかし、マイケルへの恨み節を聞く限り、なんとなくまだご令嬢のような気がする。
普通のご令嬢と違うのは、背丈が一般人と比べて少し小さいことと、背中に魔法の力を帯びた杖を背負っていること、手にワラ人形を握り締めていることだろうか。
うん、手に持っているのがワラ人形というのがとてもいい。
そのギャップが、彼女の可愛らしさを引き出している。
とてもいい。
とても可愛い。
「可愛いですね」
「……出してよ」
「とっても可愛いです」
「……出して」
「ふふ。小さくて可愛いです」
「出して。出してよー!」
花瓶の中でぷるぷる震えている万年筆サイズの美女。
こんなに心惹かれる光景があるだろうか。
しかし、この幸せな空間は長くは続かないようだ。
私はしかたなく、花瓶を手に取り、中にいるご令嬢をそっと手に取りだす。
「なに。出してくれるの」
「あの……」
「なによ」
「お洋服、きつくないですか?」
「!!!」