敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
ちなみに、マイケルにあてがわれた使用人達は、私を粘着質にいじめてくるのかと思いきや、優雅で優しい人達だった。
私が暇そうにしていると本を用意してくれるし、マグネリア王国に関する軽い会話を提供してくれたりする。
洋服を含め、ほとんど物を持ってこなかった私に、クローゼット一杯の洋服やお飾りを見せて「では、マイケル殿下が用意されたものを着放題ですね。きっと殿下も喜ぶと思います」とニコニコ笑ってくれる。
体に当ててみると、明らかに胸が収まりきらなかったので、ちょっと気まずい時間がながれたけれども、「サイズを調整しますね。腕が鳴ります」と採寸をして、裁縫に取り組んでくれた。
優しくされすぎて、この辺りでちょっと怖くなって、厚遇恐怖症の私はトイレで一人になって震えた。
夜になると、マイケルが私の私室にやってきて、申し訳なさそうに、私が連れて来た護衛達はヴィンセント王国に帰すことにしたと告げられた。
誰か傍に残したい者が居るかと聞かれたので、誰も居ないと伝えると、安心したような顔をしたので、思わず言葉が出てしまった。
「なぜ?」