敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。



 マグネリア王国にやってきて、一週間後のこと。
 私は王宮の中庭で一人、本を読んでいた。

「またそこで本を読んでいるのですか?」

 私は最近、ちょっとした空き時間に中庭で本を読むことにハマっている。
 別に暇なわけではなく、私の案内役のマイケルが忙しすぎて細切れに時間が空くのだ。
 そういうとき、本を読んでいると基本的に誰も私に話しかけてこないし、色々と()()に耳を傾けることができるため便利なのである。

 今も中庭の一部に設けられたテラス席にて、日陰パラソルの下、本を読んでいたのだ。
 しかし、私の思惑に反して、話しかけくる者が現れた。
 第二王子のミゲル=ミゼル=マグネリアである。

 ダークブロンドの髪が知的な雰囲気を醸し出している、勝気な顔をした男である。
 第一王子のマイケルは私より少し背が高い程度だが、この男は頭もう一つ分ほど背が高い。
 どうやら暗い色の服を好んでいるらしく、今日も黒い王族用執務服を身にまとっていた。

 金糸の装飾が施された黒づくめ。
 明るく華やかな王宮庭園がこれほど似合わない王族も居るだろうか。

「あなたにそれを言われるのは心外ですね……」
「あら」

 どうやら私の心の声は、口からほんの少し漏れ出ていたらしい。

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