敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「何をどうしたらそういう質問が出てくるんですかね!?」
「……」
「兄上と私は母親が違いますからね。兄上と私の仲がいいのは、外から見ると不思議かもしれませんね」

 この男、勝手に自分で納得していったぞ。

「うちの国も、派閥争いは盛んだったのですよ。下町の商工会から、街と街、議会派閥に、政治勢力。まあ、そちらの国でも、変わらないと聞いていますが」
「そうですね」
「お恥ずかしながら、特に我々王族の派閥争いは激しくてね。侯爵家出身の母上――第二王妃と、伯爵家出身の第一王妃の対立はひどいものでした。ですが、それを兄上が仲裁したのですよ」

 琥珀色の瞳が、なんだかキラキラと輝いている。
 そう、このミゲルという男は、マイケル信者なのである。
 彼が兄マイケルを語る時、そこには憧れと信頼と信用が存在し、顔は赤らみ、頬は緩んで、瞳は煌めく。
 それを知らないのは、ミゲル本人ぐらいのものである。

 そのミゲルいわく、マイケルは人の仲裁が上手いらしい。
 ミゲルが小さい頃は、第一王妃と第二王妃の仲が悪く、兄であるマイケルと話す機会すらほとんどなかった。しかし、気が付いたころには、母親たちは親友のように仲よくなっていたのだという。

「それだけでなく、長年にわたって深溝を作ってきた国内の派閥を一つ一つを訪問して、あっという間に対立を解きほぐしてしまうんですよ。兄上はすごい方なんです」
「そうですか」
「あなたは、兄上に興味がないのですか? 自国と、私達の国の融和まで図ろうとしている人ですよ?」

 不満そうな顔をしている無意識系ブラコン王子に、私は思案する。
 私は、あの王子に興味があるのだろうか。

 実は、この一週間、このミゲルにだけでなく、マイケルの家族全員にこの話を聞かれたのだ。

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