敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
実は、あまりやりすぎると、アイリス姉さまは一週間、口をきいてくれなくなるのだ。
マイケルもこれ以上追い詰めると、一週間、口をきいてくれなくなるかもしれない。
来国して一週間しか経っていないのに、ここから一週間、案内役のマイケルに無視されるのはちょっと堪える。
「それじゃあ、私は部屋に戻ります」
「え!?」
「用事は済みましたので」
「よ、用事……済みましたか!?」
「話は済みました」
「で、ですが、夜はまだ」
「未婚の子女は、二十二時には寝ないといけないと言われているので」
アイリス姉さまの教えは絶対なのだ。
マイケルは口を開けたまま固まっているので、多分退室しても問題ないだろう。
失礼しました、と頭を下げると、私は自室へと戻った。
そういえば、今日は色々とアイリス姉さまの本に載っていたイチコロ技を使ったけれども、マイケルは野獣に変身することはなかった。
何度も石のように固まっていたので、効果がなかったわけではないのだろうけれども、マグネリア王国の男の人って、噂と違って別に野蛮な感じはないのかもしれない。
私の次兄エクバルトのほうが、百倍野蛮では?