敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
石像のように固まるマイケルを置いて、浮気令息は立ち去っていった。
マイケルは動けなかった。
図星だったからだ。
顔が可愛いなとか、体つきが大人っぽいなとか、そんなふうに思ったことはある。
しかし、心を動かされたことはない。
というか、女の子だけではない。
男にも、子どもにも大人にも老人にも、自国民にも他国民にも、興味なんてない。
マイケルは、実のところ、人に興味のない冷めた人間だった。
だから、人の話を長く聞くことができるのだ。
自分に関係のない話で、まったく感情移入しないからこそ、対立しているもの達の話を両方聞くことができる。
マイケルはいつだって、ものごとを俯瞰して見ていて、当事者になることはない。
だからこそ、人の輪を整えることができ、結果として『人に優しい王子さま』が作り上げられ、王子様は顔の無い人達に囲まれていく……。