敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「なんだ?」
「マイケル殿下ってさ。殿下自身についての込み入った話ができる男友達、居ないっしょ」
「明日からお前の家だけ税率は十割だ……」
「挨拶のノリで増税しないで! しかも局部的すぎない!?」
「局部とか下品なことを言うな」
「どうしてそうなるよ受け取り方がおかしいだろ!! ……そうじゃなくてさ。興味ないなら、あんまり弄んでやるなよ」
「……何?」

 訝るように浮気男を見ると、彼は肩をすくめて廊下の先の方を見た。

 そこには彼(・)女(・)の後ろ姿があった。
 たまたま振り返った彼女はマイケルに気がついたらしく、手を振って会釈したあと、廊下の角を曲がって別の方向に去っていった。

「……で?」
「殿下の彼女。怖いから止めてくんない」
「うん?」
「スコールズ伯爵令嬢だよ。気づいてないの? 彼女、殿下が自分の視界から長く消えるとさ、殿下の周りをうろつき始めんの」

 目を見開いたマイケルに、浮気男は肩を落とした。

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