敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「殿下と廊下で話してるとさ。彼女が何回も何回も、殿下に見えない角度で廊下を通り過ぎるわけ。俺達からはそれが見えてるのよ。もーほんと怖いから」
「えっ? だ、だがその、なんで」
「殿下に片想いだからだよ」

 うろたえるマイケルに、浮気男は哀れみの目を向ける。

「彼女は、一番殿下のそばにいるのに、殿下の気持ちが一ミリも自分にないことを知ってるんだよ。だから追い詰められるの。不安で、気になってしょうがない。それが恋ってやつだろ」
「……僕は」
「気持ちがないならはっきり言ってやれ。結構限界だと思うぞ」

 それだけ言うと、浮気男は去っていった。

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