敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
少し騒がしい様子の王宮の中、私は次の日の昼下がりも、中庭で本を読んでいた。
「またそこで本を読んでいるのですか」
今日、私の元に現れたのはミゲルだ。
ダークブロンドの髪に、勝気な顔立ちが特徴的な、この国の第二王子である。
メルヒオールと違って、その美しい顔に浮かぶのは、しぶい表情だ。
眉根を寄せて、なんとも話かけづらそうにしながら、こちらに近寄ってくる。
「ごきげんよう、ミゲル殿下。よかったら、そちらへどうぞ」
「そんな、時間は……」
「……?」
「いえ。では、失礼いたします」
視線をさ迷わせながらも、ミゲルは私に指し示された向かいの席につく。
侍女が紅茶を用意したので、この王子は紅茶派なのだなとそれをぼんやりと眺めた。