敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
私の言葉に、ミゲルは真っ白になった顔でこちらを見た。
おや。
ちょっとだけ、心臓がトクンと鳴ったような気がする。
メルヒオールの言うとおりなのかも。
ミゲルも割と、美味しそうな王子さまなのかもしれない。
「『兄上のことを一番知っているのは俺のはずなのに、俺は兄上の一番のはずなのに、兄上を理解しているのは俺のはずなのに』」
「な、なっ、何っ……」
「『にゃんにゃんお前が居ないと俺はもうだめかもしれない……ああっ、つれないそぶりはやめてく』」
「――なんでお前が、知ってるんだ!」
真っ赤な顔で立ち上がったミゲルを、私が上目遣いで見ると、私の膝に眠っていた黒い猫が目を覚ましたのか、伸びをして、私の胸にしなやかな動きでじゃれついてきた。
長毛種で、金色の瞳がチャーミングな成猫の黒猫である。
黒いドレスに同化していたため、ミゲルは気が付かなかったのだろう。
彼の愛猫が私にすり寄っている様子を見て、真っ赤な顔で口をハクハクさせている。