敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「かわいい子ですね。とても色々なことを話してくれました」
「なっ……なんで……っ」
「あなたはとてもキュートな主人で大大大好きですが、おなかに顔を埋めて吸われるのには困っているらしいですよ?」

 ね、と膝に居る黒猫の首元をくすぐるようになでると、黒猫はゴロゴロと喉を鳴らして目を細めている。

 脳内がショートしたのか、ミゲルが震えながら立ち尽くしていると、またしても声がかかった。

「何をしているんだ」

 割と大きな声だったので思わず振り向くと、そこにはマイケルがいた。

 走ってきたのか、少し髪が乱れているし、息も荒い。
 しかし、表情はキラキラしい王子さまのもので、 昨日の昼下がりに声をかけてきたときよりも穏やかな様子である。

 実は、この第一王子さま、昨日の午後あたりから、最近私の周りを何度も通りがかってくるのだ。
 よくわからないけれども、何か心配ごとがあるらしい。
 どこかのタイミングで、その悩みをほじくり返してやらねばならないなと、私は内心ほくそ笑む。

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