敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


「ミゲル殿下と二人でお茶をしていました。マイクもよかったらどうぞ」
「マイク!?」
「では遠慮なく座らせてもらおう」
「あ、兄上。この女……いや、ヴィオレッタ様と、その、愛称で呼ぶ仲なのですか」
「そうだ。彼女は私の婚約者になるからな」
「兄上の婚約者に!?」
「どうしたミゲル。お前、彼女を自分の婚約者にしたいのか」

 マイケルの顔は、キラキラと輝いている。
 みんなに見せる、いつもの王子さまスマイルである。

 しかし、目が笑っていない。
 気配が黒くとげとげしい。

 兄の威圧的な気配に気がついているのだろう、ミゲルは青ざめた顔で立ち尽くしていた。
 ミゲルの顔から、(こんな兄は知らない)という衝撃が手に取るように感じ取れ、私はまた少し、トクンと心臓が高鳴るのを感じる。

 しかし、私がその心臓の高鳴りをかみしめる前に、動き出したものが居た。
 私の膝に座っていた黒猫である。

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