敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「あっ、だめよ。もう、すぐに甘えるんだから……っ」
かわいいミゲルの黒猫が、私の肉ばかりついた胸元を、フニフニと両手で押し始めたのだ。
確か、猫が両手で柔らかいものを押すのは小さい頃にミルクを飲むときの仕草で、甘えたい気持ちが全開になったときに癖としてやってしまうものだと聞いている。
理由を知るとそのままやらせてあげたい気もするけれども、居心地が悪いし、私の貴族服は布の節約のため襟ぐりが大きく開いているので、あまり押されると胸がこぼれ出てしまうかもしれない。
私は、本人達から聞く『猫のイイところ』を抑えた撫でテクニックを駆使し、黒猫を撫でまわして、わたしの胸から彼女の気をそらす。
すると、黒猫は降参したように、私の膝の上でちらりとおなかを見せてきた。