敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「こら、だめでしょう? こういうことをするなら、私の膝から出て行ってもらいますよ」
「にゃっ」
「もう。ね、ミゲル殿下。この子、とても甘え上手で困ってしまいますよね」
そう言いながら顔を上げると、そこには真っ赤な顔をしてこちらを凝視している二人の王子さまがいた。
二人とも、本当にどうしたのだろうか。
なんというか、表情があまりにもそっくりで、顔つきはそこまで似ていないものの、ああ兄弟なんだなあと二人を展示物のように見比べてしまう。
「あの?」
「……! わ、私はこれで失礼します! 猫を返してもらいましょう!」
「いいですよ。ほら、どうぞ」
私が黒猫を抱えて立ち上がり、そっとミゲルに差し出すと、ミゲルはなぜか固まってしまった。
背の高い彼は、斜め上から、私の肉々しい胸元に抱えられている猫を凝視している。