敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「いつも人の話ばかり聞いてきたのに、彼女のことは、全然聞いていないんだ」
「……にゃ?」
「彼女を呼び寄せた理由も、大枠しか話してない。本当はもっと、うちの国に来てくれたばかりの彼女に、居心地のいい場所を提供してあげたかった。どうして彼女を迎えたのか、僕が何をしたかったのか、話しをして、彼女が来てくれたことが、とても有意義だったこととを伝えて、彼女の想いを聞いて、その擦り合わせをして……」
「なぅ」
「なのに、おかしいんだ」
撫でる手が止まり、黒猫は不満そうにマイケルの手に顔を擦りつける。
マイケルは苦笑しながら、その顔をふわふわと撫でまわした。
「伝えるより、僕が知りたいと思ってる」
そうだ、マイケルは知りたいのだ。
解きほぐすためではない。
対立をなくすためでもない。
ただ、マイケルが彼女のことを知りたい。
初めて、人を知りたいと、そう思ったのだ。