敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「マイクに会いにきました」
「いいから元に戻ってくれ!」
「そんなことをしたら、裸になっちゃいますけど」
「え!?」
「猫って服を着てないですし。ああ、毛布の中に潜ればいいのかしら」
ハッとしたマイケルに、彼女はくすくす笑っている。
マイケルの毛布の中に、裸の彼女が。
想像してしまったその光景に、マイケルの体温がみるみる上がっていく。
しかし、彼女はそんなことには気が付かない様子で、マイケルの膝の上で、四つ足で立ち上がる。
「それじゃあ、戻りますね」
「ちょっと待とうか!」
「マイクがそうしろって言ったのに」
「君には恥じらいがないのか!」
「王太子様に命じられたら、逆らうことなんて……」
「僕の権力に汚名を着せるのはやめてもらおうか!?」
「婚約者候補ですから、誰にも叱られないと思いますし……知りたく、ないですか?」
石像のように――彼女が来てから何回目だろう――固まるマイケルに、黒猫は彼の首元まで伸びあがって、その顔に頬ずりをする。
「私のことを……知りたいですか?」