敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


 その言葉に、マイケルは自分の顔が歪んでいくのを感じる。
 目が潤んで、頬が赤らみ、悔しさで胸がかき乱される。

 それを見て彼女が嬉しそうに目を細めるのが、また憎らしい。

 せっかく落ち着いてから彼女と向き合おうと思っていたのに、この黒い悪魔はすぐにこうやってマイケルの心の隙に手を入れて、かき乱してくるのだ。

 それがなにより悔しくて、けれども、自分でも意外なことに、身の内が燃え上がるようだった。

 この熱を彼女にぶつけてしまいたい。

 そして、彼女の身の内にも、火を灯してやりたい。

 マイケルの灯した火で、この余裕の表情を乱すことができたら、どんなに愉しいことだろうか。

「マイク?」

 彼女を膝から下ろして、寝台に寝かせたマイケルは、そっとその額に口づけを落とす。
 大きな金色の瞳がきゅるんと輝き、そこにあるのが余裕ではなく驚きであったことに、マイケルはこの上なく満ち足りたものを感じた。

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