敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
何か裏があるはずだ。
記憶力がいいなら、スパイとしてやってきたのかもしれない。
元々、その可能性もミゲルは兄マイケルに伝えていた。
兄マイケルが大丈夫と言うので、黙っていたのだ。
しかし、仮に兄マイケルが既に彼女に籠絡されているなら、ミゲルが彼女に立ち向かわなければならない。
そんな思いを胸に、ミゲルはヴィオレッタの部屋へと向かう。
そして、彼女の部屋の前にやってきたとき、女性が寝ているかもしれない部屋に、朝方にやってきてしまったことに気がついた。
時間帯が早すぎて、まだ周りに侍女も居ない。
(あれ? これは夜這い……? いや、朝這い、なのか?)
あのとき目に映った白い肌、ふくよかな双丘が思い浮かび、ミゲルはブワッと赤くなる。
部屋の中には、あの肢体に薄手のネグリジェをまとった、黒髪の彼女が……。
(いや、違う! フローラを探しに来ただけなんだから、大丈夫だ! だいたい、あの女が、疑われるようなことをしたのが悪いんだ!)
ミゲルは首を振り、思考を整理する。