敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


 声は明らかにヴィオレッタなのに、彼女はどうやら、ミゲルをからかうつもりらしい。
 愛猫がミゲルの元から居なくなったことを知った上で、こういうことをしているのだろう。
 まともな返事はないものの、入室しても問題ないということなのだと察し、ミゲルは憤りを必死に鎮めながらも、念のためノックをした上で、部屋に入室する。

 扉を開けると、すぐ間近にヴィオレッタが立っていた。

 艶やかな黒髪に、愛らしい紫色の瞳が、きらめきを載せてミゲルを見ている。
 その嬉しそうな表情もさることながら、彼女の美しい白い肌、触れたらきっと柔らかいのであろう肢体が、薄手のネグリジェ越しに手に取るように見て取れたことで、カッとミゲルの頭に血が昇った。

「み、身支度をしていないのですか!」
「にゃ」
「何を考えているのです! あなたは、どういうつもりで」
「にゃーん」
「!?」

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