敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。


 ミゲルが最後まで言う前に、ヴィオレッタが頬を赤らめながら、獲物を見つけたかのように勢いよく飛び付いてきた。
 あまりに勢いが良かったので、ふいを突かれたミゲルは扉に激突して、痛みと驚きのまま、床に崩れ落ちてしまう。
 床に仰向けに伏したミゲルに、彼女は嬉しそうに上から覆いかぶさってきて、ミゲルは慌てて叫んだ。

「何をするのです!!!」
「にゃっ」
「ちゃんと喋ってください、馬鹿にしているので」

 そこから先は、言葉にならなかった。

 ヴィオレッタの体が、ミゲルの体の上に乗っている。
 そこそこに鍛えた彼の体と比べて、それはあまりにも柔らかい。思ったよりも軽い重みが、薄手のネグリジェ越しに感じる柔らかい双丘が、彼の視線と思考を奪っていく。
 そして、間近にミゲルを見つめる透明な紫色の宝石に、彼を誘惑するぽってりとした唇、ふわりと美しい髪から香る花の香りに、愛おし気にミゲルを見ているその笑顔。
 その美しい顔が、ゆっくりとミゲルに近づいてくる。

「や、やめっ……」

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