敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「あなたが、悪いのですよ」
「……?」
「あなたが私を、誘ってくるから」
ミゲルは、必死にヴィオレッタをけん制する。
だというのに、きゅるんと煌めく紫色の瞳は、ミゲルに全幅の信頼を寄せていた。
それが、彼の心をかきみだして、胸の内から、苛立ちと、熱い想いが湧き上がってくる。
(こんな、女に……!)
そう思う気持ちとは裏腹に、ミゲルは、自分の体の上に載っている彼女をころんと隣に下ろし、身を起こして彼女の上に体を被せた。
そうして、彼女の額にそっと口づけを落とす。
おそるおそる顔を離すと、ミゲルの若草色の瞳に映るのは、床に黒髪を散らした彼女が、可愛らしい仕草で、不思議そうにミゲルを見上げている姿である。
その無垢な仕草が、逆にミゲルを煽ってきて、彼はカッと顔を赤らめた。
「何も知らないふりをして、そうやって私を翻弄して、愉しいですか」
「なう?」
「……! ば、馬鹿にして……!」