敵国から嫁いできた悪役王女……のつもりだったのですが、めちゃくちゃ大事にされている上に、契約結婚になるようです。
「マイクは、ミゲル殿下が心配じゃないんですか?」
「心配だからこその制止だ!」
「ああ、なるほど。愛猫フローラちゃんの体を使うと、飼い主のミゲル殿下を怒らせてしまうかもしれませんね。なら、私がそのままこの体で」
「もっとよくない!!!!」
「えぇ……」
「不満そうな顔をしない! 僕が無理な要求をしているみたいな空気を出さない!!」
「……マイクは、私が会いに行ったの、いやだったんですか?」
しゅん、とつい肩を落としてしまう。
マイクは私とお話をすると、頬が紅潮してとても血色がよくなるので、私は頻繁に会いに行った方がいいのかと思っていた。
相変わらず、気が付くと私の周りを徘徊しているし、そこそこに私のことを気に入ってもらえているのだと思っていたのだけれども、まだ詰めが甘かったということなのだろう。
(アイリス姉さま、使命を果たすというのはこんなにも大変なことなのですね……)
眉尻を下げて、上目遣いにマイケルの様子を窺うと、マイケルは口を開けたまま、顔を真っ赤にして、あわあわと声にならない思いと戦っている様子であった。