私の運命の人
(なんだろう、この安心感。ずっと昔にお父さんにされたような、懐かしい感覚)

私は半分夢を見ているような不思議な気持ちになっていた。
すぐ隣で感じられる先生の温かさは、どこかホッとして心地良い。
頭に置かれた手は、幼い日の私が覚えているそのまま。

(私、あの頃が一番幸せだったのかも)

五歳の頃、いっくんと過ごした日々。
もう会えなくても、あの頃の記憶が今の私を作っていた。
いっくんのおかげで、今私は生徒たちに真っ直ぐ向き合おうと思える。
真摯に向き合う大切さをいっくんが教えてくれたから。
そして夜空を見上げては思い出す。
この世界がどんなに広く、美しいものなのか。
光年という言葉を知ったからこそ、人間の一生は一瞬で、全ての出会いが奇跡だと思えた。

「……いっくん」

どうやら私は口に出して呟いてしまったらしい。
ピクリと先生の肩が動いたのがわかった。

「あ、ごめんなさい」

ハッと我に返って顔を上げると、先生は驚いたように私を見つめる。

「あの、どうかしましたか?」
「いや、何でもない」

そう言って先生は窓の外の景色に目を向け、私のアパートに着くまでひと言も話さなかった。
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